あたたかで親密な

受け入れた上で、その奥に隠れていた、生きている中に潜む歓びやあなたという存在の愛おしさをそっと取り出したような、とても繊細で、とても純粋な結晶。厳しい寒さの中に淡い光を反射しながら舞い落ちるそれは、一見冷たそうに見えて実は、凍えた手にぬくもりを与えてくれる。そんなsleepy.abの音楽の本質が、楽曲の芯であるメロディと言葉、そしてそれを表す「歌」を最も響かせる形でリアレンジされることによってより鮮明になったのが、ここに収録された曲達だ――。

頭、「なくしたもの全て教えて」とうたうあたたかな歌が、いきなり心の芯に寄り添ってくる。「君がいたこの世界は いつも悲しくて嬉しくて/君のためになくしても構わないから 涙に変えられない」など、孤独や悲しみを柔らかな光へと変える成山の作詞の素晴らしさが存分に発揮された名曲。原曲に比べてベーシックな流れがストリングスに委ねられ、穏やかな波のようにじんわりとからだの深部に浸透する楽曲になっている。4thAL『fantasia』収録曲。